Art-SITE vol.7 遠藤茜個展「Same name, same act」
Art-SITE vol.7
遠藤茜「Same name, same act」
金沢市民芸術村アート工房 PIT5
2026年3月20日(金・祝)〜22日(日)17:00~23:00
「Art-SITE」とは、2022年より始まった、ジャンルを問わずアーティストの展示会やパフォーマンスなどを行う企画展シリーズです。北陸における作品発表の場として、長く親しまれてきた金沢市民芸術村を舞台に、展示空間や鑑賞者の動きにも積極的に意識を向けうるアーティストを招致し、金沢市民芸術村アート工房の空間ならではの運用方法の実践・提案をするものです。
本年度は「Art-SITE:Late Show」と題し、石川県金沢市を拠点に活動するアーティスト、遠藤茜、吉川永祐、舘田美玖の個展をそれぞれ開催いたします。本展では、会期を三日間の夜間17時から23時までと限定的にすることで、24時間利用可能で、まるでギャラリーと劇場が混ざり合ったかの様な、全国的にも類を見ない金沢市民芸術村アート工房を活かした、より実験的な表現を行う場(SITE)を展開します。
第三期は、2026年3月20日(金・祝)〜22日(日)までの三日間にわたり、遠藤茜個展「Same name, same act」を開催いたします。
石川県は、輪島市の『輪島塗』や加賀市の『山中塗』、そして金沢市の『加賀蒔絵』など、国内有数の漆塗り産地として知られています。「漆」は、樹木を表す漢字としてさんずい(氵)の部首を持つ唯一の樹木です。ここからは、ウルシの木のアイデンティティが、遥か昔より、樹液を原料としたこの「漆」という塗料にあったことが窺い知れます。
漆作家の遠藤は、これまで一貫して漆を用いた作品の制作を行ってきました。自身の住む町内に設置された漆塗りの掲示板《1-6掲示板》(2024)や、フリマサイトで入手した漆器から着想し制作された《マ皿へのオマージュ》(2023)、「そこに何かが置かれていた」痕跡の残るクッションを、漆のもつコーティングと硬化という特徴で留める《名無しの凹み》(2022)など。これらは伝統工芸品としての漆芸品とはまた違う、「批評的漆芸」とでも形容したくなる立体作品です。
漆を「媒介者」であるとする遠藤にとって、漆は塗料(メディウム)であり、何かから何かへ、他者から他者へと伝達する手法(メディア)なのです。そしておそらく、それら全てを包括して、遠藤は漆という存在を愛しています。本展では、漆を「傷つける」沈金と呼ばれる伝統技法に着目した最新作が発表される予定です。
短い会期ではありますが、皆さまからのご高覧を、心よりお待ち申し上げております。
菊谷達史(アート工房ディレクター)
アーティストステートメント
本展は漆の職人が使用する「マナ板」という道具に着目します。「マナ板」とは漆を練ったり混ぜたりと漆を扱うための板で、一般的には定盤(じょうばん)と呼ばれることも多いです。興味深いことに、「マナ板」はその名の通り調理に使う「まな板」と同じ呼び方をされています。調理に使う「まな板」と、漆の「マナ板」。調理用の「まな板」は使用すればするだけ傷がつきますが、漆の「マナ板」は逆に使用すればするだけ艶を増していきます。この相反する関係性を用いて、「傷をつける」こと、その暴力性と同時に宿る装飾性について、考えてみたいと思います。
(遠藤茜)
遠藤茜(漆作家)
2025年
個展「こうげい的そんざい」(石川/花紫)
遠藤茜・オノユウコ2人展「law display」(東京/新宿眼科画廊)
第80回記念 金沢市工芸展(石川/金沢エムザ)
グループ展「漆表現の現在vol.3」(東京/日本橋高島屋6F 美術画廊X)
遠藤茜・オノユウコ2人展「Topophilia」(岡山/OF)
企画展「生新の時2022-漆芸の未来を拓く-」(石川/輪島漆芸美術館)
個展「WHAT CAN I PROTECT?」(石川/ArtShop月映)
遠藤茜・藤墳真由子2人展「ユージュアル・プレイ・レター」(東京/コ本やhonkbooks)
第5回ファースト・パトロネージュ・プログラム2021秋(東京/アーツ千代田3331)
Instagram @akane_endo
展覧会概要
Art-SITE vol.7
遠藤茜個展「Same name, same act」
会場:金沢市民芸術村アート工房 PIT5
日時:2026年3月20日(金・祝)〜22日(日)17:00~23:00
トークイベント
「遠藤茜(漆作家)×中村裕太(美術家・京都精華大学准教授)」
日時:2026年3月21日(土)18:00~19:30





アクセス
金沢市民芸術村 石川県金沢市大和町1-1 TEL076-265-8300
・バス バス停【武蔵ヶ辻・近江町市場】発 「香林坊」経由「新金沢郵便局」行 バス 停【大豆田」】下車 徒歩5分
・車 北陸自動車道「金沢西I.C」から片町方面に約10分 ・金沢駅・片町交差点から 徒歩15分、タクシー5分
主催:金沢市民芸術村アクションプラン実行委員会(公益財団法人金沢芸術創造財団、金沢市)
企画担当:金沢市民芸術村アート工房ディレクター 菊谷達史、寺西由佳
フライヤーデザイン:村田裕章
